ポスドク（非常勤職）とは？年収、結婚、任期の問題

人工進化研究所（AERI）

2023年10月28日読了時間: 9分

Professor Kamuro's near-future science predictions:

ポスドク（非常勤職）とは？

年収、結婚、任期の問題

Quantum Physicist and Brain Scientist

Visiting Professor of Quantum Physics,

California Institute of Technology

IEEE-USA Fellow

American Physical Society-USA Fellow

PhD. & Dr. Kazuto Kamuro

AERI：Artificial Evolution Research Institute

Pasadena, California

HP: https://www.aeri-japan.com/

and

Xyronix Corporation

Pasadena, California

HP: https://www.usaxyronix.com/

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ポスドク（非常勤職）とは？　年収、結婚、任期の問題

ポスドク（非常勤職）は研究者にとって当たり前過ぎる言葉だ。

ポスドク（非常勤職）は任期がある。研究所・研究室のボス（研究所長・教授）が雇用する場合、だいたいポスドク（非常勤職）を雇用する財源に依存するので数年程度で、研究所・研究室のボス（研究所長・教授）が研究費を獲得できればもう少し伸びるというのが実際のところだ。数年といっても実際の雇用契約は1年ごとの更新が多く、基本的に研究所・研究室のボス（研究所長・教授）から使えないやつと思われたら翌年の職はなくなる恐れがあるという、なんとも恐ろしい状態だ。

ボス（研究所長・教授）から気に入られていたとしても、ボス（研究所長・教授）がポスドク（非常勤職）を雇えるだけの研究費を獲りそこなうとやはりクビになる恐れが大だ。もし大学が財源を持っていて大学のお金で雇用する場合には、もう少し経済的、気分的な安定が見込まれる。

1.ポスドク（非常勤職）の定義

ポスドク(Postdoc）は、英語のポストドクトラルフェロー(postdoctoral fellow)の略で、大学院で博士号を取得した後、大学教員の職を得る前の、通常数年程度の一時的な研究職のことだ。次に大学教員として就職するために必要な研究者としての実績を積むための数年間という位置づけだ。このポスドク（非常勤職）の時期に、しっかりと研究して成果を挙げ、いい論文にまとめないと、次にステップアップできない。東大や京大、阪大、ハーバードやスタンフォードなど一流の大学にポスドク（非常勤職）から教員の職を獲った人の業績を見てみると、ほぼ例外なくポスドク（非常勤職）の時期にトップジャーナル（セル、ネイチャー、サイエンス、およびそれらの姉妹紙の最上位のジャーナル）に論文を複数出している。別にこのようなメジャーな大学でなくても、今のご時世はもっと普通の大学であってもやはりこれらのレベルのジャーナルに論文を出したことがある人しか、研究ができるような大学の教員にはなれていないようだ。研究者の業績をどう評価するかは大学の考え方次第だ。

2.ポストドクトラルトレーニング

日本では博士号を取得したら一人前の研究者と見なされるべきだという風潮がある。アメリカに行って驚いたのはポスドク（非常勤職）は、postdoctral training(PI)という言葉があるくらいで、PIになる前のトレーニング期間という位置づけだ。

最近、日本でもポスドク（非常勤職）という名前が知られるようになって来たが、ポスドク（非常勤職）は博士号取得者の就職困難という負の文脈で用いられることが多く、誤解を与えているようなので以下、誤解の修正をする。

3.ポスドク（非常勤職）の期間

ポスドク（非常勤職）は博士をとった人間が、常勤職の大学教員の職をゲットするための期間だ。早い人だと2年くらい、望ましくは３年くらいで終わらせるものだったはずだ。なかなか良い論文が出せずに5年くらいかかってという場合もある。しかし、これは理想的な話であって、近年のいわゆる「ポスドク（非常勤職）問題」という言葉が示すように、大学に空きポジションがあまりにも少ないために多少の業績がある人でも教員職にありつけず、ズルズルとポスドク（非常勤職）を続けて高齢化していきますます就職に不利になってしまうという状況が頻繁に見られる。

4.ポスドク（非常勤職）の仕事は誰のもの？

研究所・研究室の仕事は全部研究所長・教授（研究所・研究室（ラボ）ヘッド）の仕事と見なされる。ポスドク（非常勤職）がファーストオーサー（筆頭著者）として論文を書いても、外からみるとそれは研究所・研究室（ラボ）の研究所長・教授（あるいはＰＩ）の仕事として評価される。それが証拠に、せっかく良い研究テーマを当てたとしても、研究所・研究室（ラボ）を出るときにその研究テーマを持って出られるとは限らない。

テーマののれん分けは、ボス（研究所長・教授）の考え方次第なので、テーマを持ち出して競合相手になることを気にしないボス（研究所長・教授）もいれば、テーマの持ち出しを絶対に許さないボス（研究所長・教授）もいるし、うまくテーマを住み分けて協調するボス（研究所長・教授）もいる。

5.ポスドク（非常勤職）の給料・年収

ポスドク（非常勤職）は何年やっても普通の会社のような昇給はない。何歳であっても年齢は考慮されません。なので、30歳のポスドク（非常勤職）も40歳のポスドク（非常勤職）も50歳のポスドク（非常勤職）も給与に差はつかない。給与に差が出るとしたら、そのポスドク（非常勤職）を雇用する制度が異なる場合だけだ。ボス（研究所長・教授）が科研費で雇うのか、大学が雇うのか、日本学術振興会特別研究員（PD）（通称、学振）での雇用なのか、CRESTなどのプロジェクトでの雇用なのかで差はあると思われる。ボス（研究所長・教授）が科研費で雇用する場合は、たいていかつかつなので最低金額しかもらえないでしょう。高齢ポスドク（非常勤職）でも、企業の新入社員なみの低さだ。ポスドク（非常勤職）は常勤職ではないのでボーナスは、ない。

ポスドク（非常勤職）の年収例が雑誌ネイチャーの記事がある。国や研究分野、および個人によって大きな差があるようだ。

・年間の収入が5万ドル以上8万ドル未満（約515万円以上825万円未満）になると報告した人は半数以下（42%）

・米国立衛生研究所（NIH）の所内研究訓練奨学金（Intramural Research Training Awards：IRTA）を受けている新しいポスドク（非常勤職）は、少なくとも年間5万2850ドル（約545万円）

・回答者の38％が年収3万ドル以上5万ドル未満（約310万円以上515万円未満）、15％が年収3万ドル未満と答えている。

・欧州では、欧州ポスドク（非常勤職）協会ネットワーク（European Network of Postdoctoral Associations；ポルトガル・コインブラ）が2019年に実施した調査の結果、ポスドク（非常勤職）の収入には大きな格差があり、中央値が約3万8000ドル（約390万円）と示されたことと一致している。

（学術界のプレカリアート、ポスドク（非常勤職） Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2021.210226）

6.ポスドク（非常勤職）の貧困度合い

ポスドク（非常勤職）の給与は、特に科研費雇委の場合はボス（研究所長・教授）にも余裕がないので、ボス（研究所長・教授）がケチだからというわけではなく、非常に低い金額しか期待できない。年収４００万円程度。

7.ポスドク（非常勤職）の恋愛・結婚

ポスドク（非常勤職）は大学で職を獲るまでの修行期間なのでたいていの人は研究に100%の労力をつぎ込んでいる。なので恋愛する余裕はあまりないのではない。恋愛や結婚などをしているポスドクは、この時点で、落ちこぼれ・脱落者・失格者・敗残者といえる。

しかし学生時代からつきあっている恋人・異性がいたりした場合には、結婚をどうするのかという問題も生じる。男性ポスドク（非常勤職）の心理としては、自分の職がどうなるかわからない状態ではとても結婚などできないと思う人が理性的・常識的であって、男ポスドク（非常勤職）のほとんどだろう。無鉄砲に結婚を急ぐのは、雄の生殖本能丸出しの落ちこぼれポスドク・屑ポスドク・愚かなポンコツポスドクか、国籍取得目的者だ。このため、必然的に女性は待たされることになる。しかし、ポスドク（非常勤職）問題が示す通り、いつまでたっても職にありつけないで高齢化するポスドク（非常勤職）が大量に生まれている状況では、いつまで待っても結婚のタイミングは来ないと思ったほうがよい。

8.ポスドク（非常勤職）の人生

本来はほんの数年で次にステップアップしなければならないポスドク（非常勤職）なのだが、ポスドク（非常勤職）のドツボ・泥沼から抜け出せなくなる人が非常に多い。

高齢化するポスドク（非常勤職）の人生を描写した「白木屋コピペ」を読んだときに、惨めな気分になった。実際にはもっと悪い状況で、友達関係も全部途切れて、向こうからすれば音信不通になった状態だったので、安い居酒屋で飲む機会すらありえない状況だ。

9.ポスドク（非常勤職）の末路

・ポスドク（非常勤職）をやって華々しい成果を挙げた人は、テニュアトラック助教、テニュアトラック准教授といったPI職を得るチャンスが出てくる。あまり成果が得られなかった場合でも、どこかの助教になれる可能性はある（人との繋がりが必要）。成果が出ず、ボス（研究所長・教授）がもうこれ以上雇いきれなくなると、辞めざるを得ませんが次に行く場所もないので、アカデミアを去る決断が必要になる。しかし年齢がいっていると、民間に行く選択肢はすでにない。人材登録会社に相談しても、まともな職は紹介してもらえず、結局、アカデミアでさらにがんばる以外の選択肢がなくなる。高齢ポスドク（非常勤職）のさらなる高齢ポスドク（非常勤職）化だ。東京大学博士号取得者でも非正規雇用、テニュアトラック助教、テニュアトラック准教授といったPI職への夢破れて40代で初めて就職活動。日本でテニュアトラック助教、テニュアトラック准教授といったPI職、研究者就職失敗者は、当然米国では歯が立たない、テニュアトラック助教、テニュアトラック准教授といったPI職・正規雇用研究者への就職は非常に難しい。夢は中国で研究者・・・、となる。

悲惨なポスドク（非常勤職）…東大博士号でも非正規、40代で就職活動、夢は中国で研究者 （奥田壮／清談社　2019.07.01 07:00 Business Journal）

10.ポスドク（非常勤職）のキャリア

・もちろん一部のポスドク（非常勤職）は順調にステップアップしていくが、ポスドク（非常勤職）の期間で思わしい論文業績を作れなかった場合には、早々にアカデミア以外のキャリアパスのオプションを考えたほうがよい。

・ポスドク（非常勤職）という非常勤職を長く続けてチャンスを伺うよりも、なにはともあれ若いうちに助教などの常勤職でどこかに潜り込んでそこでステップアップしたほうが確実性が高く、経済的にも安定した人生になる。

・いくらポスドク（非常勤職）で業績があったとしても、公募前から内部昇進する人が決まっているポジションの”公募”で勝つことはできない。助教も任期付きがほとんどですが、一部の大学では定年制の場合がある。

END

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Quantum Brain Chipset & Bio Processor (BioVLSI)

Prof. PhD. Dr. Kamuro

Quantum Physicist and Brain Scientist involved in Caltech & AERI Associate Professor and Brain Scientist in Artificial Evolution Research Institute（ AERI: https://www.aeri-japan.com/ ）

IEEE-USA Fellow

American Physical Society Fellow

PhD. & Dr. Kazuto Kamuro

AERI & Xyronix Corporation

HP: https://www.aeri-japan.com/　

HP: https://www.usaxyronix.com/

email: info@aeri-japan.com

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【Keywords】　Artificial Evolution Research Institute：AERI

HP： https://www.aeri-japan.com/

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